漢方薬物解析学研究室

 本研究室の前身である生薬学研究室に初代主任教授として八木晟 (名誉教授)が1983年12月に九州大学薬学部から赴任し、1984年4月に岡村信幸が米国ジョンズ・ホプキンス大学医学部から助手として参加して生薬学の教育研究がスタートした。一時期、松島龍太郎広島大学医学部教授(広島大学名誉教授)による東洋医学・和漢薬概論の貴重な講義が行われていた。生薬学の研究を進める傍ら、生薬学の立場から医療薬学を標榜する本学に何か貢献できることはないかと模索していた時期に、小林宏先生(非常勤講師)と出会い、本学における漢方教育が始まった。平成7年から小林先生が始めた課外講義「漢方勉強会」(福山大学漢方研究会)は学生や薬剤師に大変好評で、翌年には小林先生を非常勤講師に迎えた漢方講義が正規の授業に導入され、全国有数といわれる福山大学薬学部の漢方教育プログラム(漢方薬物J・K、漢方薬物治療学、漢方生薬実習、漢方生薬学特論、医療薬学演習K)の礎となった。2003年4月に研究室名が『漢方薬物解析学研究室』に改称され、名実共に漢方の教育・研究に専念する研究室となった。

■ スタッフ
教   授  岡村 信幸 NobuyukiOkamura
助   手  高山 健人 Kento Takayama
非常勤講師  小林 宏  Hiroshi Kobayashi

■ 研究内容  
 1.漢方薬の多成分同時分析に関する研究
   桂麻剤、大黄甘草湯、大黄剤、黄連解毒湯、四逆散、Finger-Print
 2.漢方薬の製剤学的研究
   小青竜湯、麻杏甘石湯、大黄、センノシドA
 3.漢方薬配糖体成分の腸内代謝に関する研究
   芍薬甘草湯、グリチルリチン、レスポンダー、ノンレスポンダー
 4.モデル動物を用いた漢方薬の薬理学的研究
   五苓散、人参湯、水分過剰下痢モデルマウス
 5.漢方薬成分の相互作用に関する研究
   大黄甘草湯、センノシドA、腸内代謝、リクイリチン
 6.漢方薬と西洋薬の薬物相互作用に関する研究
   大黄甘草湯、センノシドA、下剤活性、抗生物質、リクイリチン

■ 教育内容  詳細 
漢方薬物J(1年前期、1単位)では桂麻剤、柴胡剤、大黄剤、漢方薬物K(1年後期、1単位)では人参剤、理気剤、苓朮剤、滋陰剤、補血剤、駆?血剤などの処方群による薬物治療を講義している。その際、生薬の性味や効能から処方の使い分けを解説し、処方の大まかな適応を理解させ、慎重投与が必要な生薬に関して医療薬学的な説明を行っている。漢方教育において、まずは興味をもたせることが重要で、可能なかぎり体系的・論理的に教育する必要があると考える。漢方生薬実習(2年後期、1単位必修)では生薬の性状や形態の理解、煎剤、丸剤、軟膏剤の調製ならびに煎剤の試飲、さらには坐剤やゼリー剤を製剤させている。実習では生薬の鑑別や漢方薬の調剤に関する知識・技能だけでなく、患者に対する配慮(態度)も身につけさせることを目的にしている。また、症例をもとにしたスモールグループディスカッションや発表などのPBLチュートリアル教育も実習に取り入れている。
 テキスト:『病態からみた漢方薬物ガイドライン』(京都廣川書店)

■ 漢方調剤  
 1.漢方薬の剤形
 2.漢方丸剤 大甘丸(大黄甘草湯)の調製法
 3.漢方軟膏 紫雲膏の調製法
 4.新しい漢方薬の剤形 黄連解毒湯ゼリー剤
 5.新しい漢方薬の剤形 五苓散の剤形

■ 漢方Q&A  
基本問題 次のうち、間違っているものはどれですか?
 1.漢方医学とは中国の医学のことである。   
 2.漢方薬は総て自然の薬材を用い、化学合成した医薬品を全く含まない。
 3.漢方薬は穏やかに作用するため直ぐには効かない。
 4.漢方薬は身体に害のない安全な薬である。

Q1.エキス剤は溶かして飲んだ方が良いのでしょうか?
Q2.食前に漢方薬を飲むと食欲がなくなることがあります?
Q3.漢方薬を飲み始めてから,お腹の調子がおかしい?
Q4.証が合っていれば副作用は起きないといわれますが?
Q5.妊婦に適応または不適応な漢方薬はどれですか?
Q6.漢方薬と西洋薬を一緒に服用して大丈夫でしょうか?
Q7.エキス剤をジュースや牛乳などで服用してもよいでしょうか?
Q8.エキス剤が変色していますが大丈夫でしょうか?
Q9.煎剤にハチミツなどを混ぜて味を調整しても良いのでしょうか?
Q10.同じ漢方薬でも煎剤とエキス剤で効果に違いがありますか?
Q11.鉄製の容器で煎じると良くないと聞きましたが?
Q12.生薬をティーバッグに入れて煎じても良いのでしょうか?
Q13.冷めてから煎じ薬をこすと良くないと聞きましたが?
Q14.煎じ薬は冷めると沈殿が出るが,これも飲んだ方が良いのでしょうか?

■ 漢方コラム『患者さんのために漢方薬を役立てる』  
1.漢方薬を理解するコツ
 ・治癒とは治療し癒すこと
 ・漢方薬を体験する
 ・漢方生薬の特性を把握する
 ・麻黄を含む処方のポイント
 ・附子または石膏を含む処方のポイント
 ・大黄を含む処方のポイント
 ・甘草を含む処方のポイント
2.漢方薬の服薬指導における注意点
 ・注目されてきている漢方薬 
 ・エキス製剤の飲み方  ・速効性のある漢方薬
 ・小柴胡湯による薬禍に学ぶ
 ・漢方薬の代表的な副作用
 ・本学のユニークな取り組み
3.漢方薬が得意とする治療
 ・元気を補う漢方薬
 ・水分バランスを整える漢方薬
 ・冷えを改善する漢方薬
 ・ストレスを改善する漢方薬
 ・終わりに

■ 福山大学漢方研究会  詳細
 漢方研究会は月1回初級・中級者を対象に小林宏先生が体系的・実践的に講義している。卒前教育の充実にともない、この研究会はリカレント教育にその役割が変遷し、備後地区を中心に岡山、愛媛、香川の近県から毎回100名以上の参加者がある。
 場  所:福山大学宮地茂記念館(福山大学社会連携研究推進センター)
      JR福山駅北口徒歩1分(隣接する民間駐車場をご利用下さい)
 日  程:福山大学漢方研究会
 テキスト:『病態からみた漢方薬物ガイドライン』(京都廣川書店)