HPLC(高速液体クロマトグラフィー)

GC/MS

ESI-LC/MS(/MS)

MALDI-TOF/MS

使用分析機器

私達は糖脂質や糖タンパク質等複合糖質と呼ばれる生体物質の構成成分である糖鎖の構造や機能について、これらの分析機器を使用して、日々研究に取り組んでいます。

HPLCは、移動層が液体、固定相(カラム)が固体であり、難揮発性の物質の分析に用いられる装置です。機械的に高圧で送り出される液体によって分析物をカラムにかけて、各物質が固定相に留まる時間を短くして分離・検出能力を高くすることを特徴としており、カラムにかけられた各成分は、固定相との吸着相互作用や分配作用に基づいて分離されます。移動相の組成を操作したり、分析物の性質に基づく分離モードを選択することにより、試料中の各成分は、分子量の大きさや電気的な性質、更には分子構造や立体構造の違いからくる僅かな性状の違いからでも分離が可能となっています。
右上図に示しているのは、紫外吸収試薬で標識した6種類の単糖の分析データです。この中には立体構造に少ししか差異が無いものも存在していますが、それぞれの成分の分離を行うことができます。我々の研究室では主に糖鎖、タンパク質、脂肪酸の分析にHPLCを用いています。
ESI-LC/MSとはエレクトロスプレーイオン化法(Electospray Ionization)によるイオン化を用いた質量分析計(MS)をHPLCに連結させた装置のことです。LC部分において性状に基づき分離された各成分は、溶媒ごとMS部分で高電圧をかけたキャピラリーへと導入・噴霧され、溶媒分子の蒸発とそれにより生じた液滴の分裂によりイオン化され、真空下で質量(m)と電荷(z)の比(m/z)に応じて、電磁気的に分離されます。またこの質量分析計はタンデム質量分析計(2台の質量分析計が連結した装置)で第1の質量計で特定のイオンを取り出し、これを更に開裂させて生じたフラグメントイオンを第2の質量計で分析することが出来ます。これにより分子量だけでなく、その構造に関する詳細な情報を得ることができるようになり、現在の構造解析には欠かせない分析法です。
右上図のデータは植物由来の糖タンパク質の糖鎖を紫外吸収試薬(ABEE)で標識した物の分析データです。LC部分で分離された糖鎖をMS部分で解析した結果、(m/z)=1417の分子イオンピークが得られ、図中に示すような糖で構成されている物質であることが推測され、タンデム質量分析計によりその結合の順番まで決定することができます。我々の研究室では、主に糖鎖や糖脂質の分析にLC/MSを使用しています。
MALDI-TOF-MSとはマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization)と飛行時間型(Time Of Flight)質量分析計を組み合わせた、主として生体高分子の質量を決定するための装置です。マトリックス(レーザー光を吸収する化合物)と混合されて、数ナノ秒という短時間の間、レーザー光を照射されイオン化された分析試料は、MS部の高電圧の電極間で加速されてイオン検出器まで飛行していきます。このときのイオンは多くの場合は一価であり、加速される時にイオンが受け取るエネルギーは電荷量のみに依存しているため電荷に対する質量(m/z)が大きい分子は低速で、逆に小さい場合は高速で飛行し、検出器に到達するまでのこの時間差から、分析試料の質量を割り出すことができます。またMALDI-TOF-MSは従来のイオン化法では壊れやすかった大型の生体分子(タンパク質、ペプチド、多糖)を非破壊的に、尚且つ分析試料の純度に対する要求度も低く、微量の試料での測定が可能という特徴を持ちます。
右上の図は上記のデータと同様に植物由来の糖タンパク質の糖鎖を紫外吸収試薬(ABEE)で標識した物の分析データです。その結果、(m/z)=1417の分子イオンピークが得られ、図中に示すような糖で構成されている物質であることが推測されます。我々の研究室では、主に糖鎖やタンパク質の分析にMALDI-TOF-MSを使用しています。
GLC(Gas Liquid Chromatogragphy)はHPLCとは違って移動層が気体、固定相(カラム)が液体であり、揮発性の物質もしくは無極性の官能基との置換反応による誘導体化により揮発性となった物質の分析に用いられる装置です。注入された試料は高温下で気化された後、ヘリウムのような不活性のガス(キャリアーガス)によりカラムへと運ばれ、試料中のそれぞれの成分は、沸点の違いと固定相との吸着力の違いによって分離され定量することが出来ます。またGCの固定相や検出器の種類は非常に多く、分析対象物質の分離・検出に適した物を選択することでより効果的な分析を行うことが出来ます。写真のGLCは検出器にFID(水素炎イオン化検出器)を使用しており、ほとんどの有機化合物を高感度に検出することが出来ます。
右上図のデータは2種の糖アルコールをTMS(トリメチルシラン)で誘導体化した物の分析データです。それぞれが単独のピークで得られて、サンプル中に含まれる量を計算することが出来ます。我々の研究室では、主に単糖や糖アルコール、脂質の分析にGCを使用しています。
GC/MSはGCに質量分析計(MS)を連結させた装置で、定量性には優れているが定性能力の劣るGCと、定性能力には優れるが定量能力の劣るMSが相互に欠点を補っています。GC部分で分離された成分は、キャリアーガスの除去後MS部でイオン化され、生成された分子イオンや分解イオンのマススペクトルが測定されます。このマススペクトルはLC/MSで得られたものと同様に、化合物の分子量はもとよりその構造について大量の情報を含んでいるため、これらのデータから定性分析や定量分析を行え、主に環境汚染物質の超微量分析で繁用されています。
右上図のデータは微生物が産生した糖脂質の脂質部分をメチル化し、質量分析した時のデータです。GC部分で分離した脂質がイオン化されて分析された結果、分子イオンピークの値と脂肪酸に特異的な分解イオンが検出されたことから、炭素数が10個で二重結合を一箇所持つ不飽和脂肪酸であることが解ります。我々の研究室では、主に単糖や糖アルコール、脂質の分析にGCを使用しています。

GLC

GN2M3GNGN-ABEE

GN:GlcNAc
M:Mannose

GN2M3GNGN-ABEE

GN:GlcNAc
M:Mannose

エリスリトール

イノシトール

/

/