 |
 |
| 2007年9月10日 チベットの赤い塩 |
|
先日「素敵な宇宙船地球号」という番組をたまたま見た。このときは「天空の赤い塩」−チベット茶葉古道を往く−というものであった。内容は、中国・チベットの奥地、標高3000メートルの山々が連なる麓にある加達村での赤い塩作りと、そこに暮らす人々の物語である。詳細は番組ホームページ参照(http://www.tv-asahi.co.jp/earth/midokoro/2007/20070909)。
|
|

|
|
この場所はかつて海底にあった。インドアジア大陸とユーラシア大陸がぶつかった時に隆起し、高地に岩塩の層が形成された。そこに川の水が染みこんで岩塩が溶け、その塩水をくみ出す井戸が、この村によって何百年も守り継がれている。草一本生えない渓谷の段々畑に女達が塩水をくんで天日乾燥させると、ピンクの塩「桃花塩」ができる。塩を売るのは男の仕事である。この塩をロバに積んで、村一番の塩売り名人ヘンドゥさんが16才の息子と往復240kmの行商の旅に出る。
農業のできないこの村では塩が唯一の収入源となっている。ヘンドゥさんは長男が町の高校に通っているため、塩を売って現金収入を得なければならない。山間部の険しい道を通り、小さな集落を巡る行商は最初順調に進むが、この地域で一番の都会である徳欽に近づくと道路の拡幅工事がすすみ、かつてはロバ一頭が通れる径に大型トラックが往来している。町一番の大口顧客とふんだ旅館に出向いて塩を売ろうとするが、主人は塩を一目見るなり「これは家畜にやるもので、人が食べるものではない。」と相手にしてくれない。そこで町の雑貨店に行くと、「昔はあんたの塩も食べたが、近頃は食べないよ。いまでは塩はこれだ。」といって出してきたのは、私たちもよく見かけるビニール袋に入った真っ白な精製塩である。結局ヘンドゥさんは思ったほど塩が売れず、高い金を出してその精製塩を買って村に持ち帰るのであった。
加達村に帰ったヘンドゥさんはすぐ寄り合いを開いて、町で見たことを報告するとともに、みんなで精製塩の味見をするのである。すると塩をなめた全員がすぐ「べえっ」と唾を吐き出す。「まずい」、「こんなの塩と言えない」、「苦いばかりで味がない」、「うちの塩の方がよっぽどうめえ」。中には精製塩を「こんなにまずいのは、不純物が混ざっているからに違いない」という意見も出た。化学的には精製塩がきれいなはずだが、最近の中国製食品への危険物混入が頭をよぎった。とはいえ、塩が売れないことにはどうしようもない。そこから善後策についての話し合いがもたれ、結論としては塩からもっときれいにゴミを取り除いて、品質管理を徹底しようということであった。
この番組を見た最初の印象は、恐らく誰でもそう思うだろうが、ピンクの「桃花塩」を食べてみたいというものである。少なくとも袋入りの精製塩よりは格段に魅力的に写る。筆者も世間並みに専門店に出向いてはいろいろな塩を試しているので、塩の味の違いは分かる、気がする。甘いのである。家庭では肉にはこの塩、魚にはこの塩と何種類かの塩を使い分けている。最近近代化された徳欽の人たちに、古からの塩の良さを説きたいなどと思う。これと似た風景はアマゾンでも見た。日本人から見るとアマゾンはトロピカルフルーツの宝庫でおいしいフルーツジュースがあふれているのに、現地の労働者はコーラなどのソフトドリンクばかり飲んでいる。それにしても今後ヘンドゥさん家族、加達村、それと「桃花塩」はどうなるのか心配になった。何とかこの塩をもう少しきれいにして日本で買うことができれば、加達村や「桃花塩」の応援にもなる。
ここでふと考えてみたが、ヘンドゥさんはかなりのやり手である。何しろ村一番の塩売り名人である。二人の息子のうち長男は大枚はたいて町の高校にやり、次男に商売を継がせる、つまりリスクの分散を行っている。また徳欽の町で塩が売れなかった時も、落胆して帰るのではなく、これまた大枚はたいて精製塩を買い、村に帰るとすぐ善後策の協議に入り一応の方向性を打ち出している。それにもまして感心するのは、テレビ取材に応じ、チベットの高地で起こっている出来事を日本の茶の間に訴えかけたことである。この番組を見た日本の視聴者から何らかの協力が得られないか、おれたちの塩を日本で売る方法はないか、なども考えたのではなかろうか。
断崖絶壁を縫うようにして続く細い小径を人とロバが通っている姿を見ながら、経済のグローバル化は海抜3000メートルのチベットの村にも及んでいるのだと感慨を深くした。
番組ホームページから、番組予告編ムービーが見られます。http://www.tv-asahi.co.jp/earth/midokoro/2007/20070909/earth_212_300.asx
|
|
 |
|
|
| 2007年6月9日 ガラス器具にバラを生けてみる |
|
しばらく前の話になりますが、大学に出入りの業者さんが、「倉庫整理で出てきたメスフラスコ、破格値にするので買ってもらえませんか?」といってこられました。「いいですよ。」と軽く返事しましたが、そんなに沢山のメスフラスコを実験で使うわけでもなく、「まあいいかっ!」と自腹で買うことにしました。確か8個、1000円ぐらいだったと記憶しています。2000円払いましたので、16個になります。個人で16個のメスフラスコを持っている人も珍しいのではないでしょうか。ものは試しと、「メスフラスコ売ります、1個100円」と掲示板に張り紙をしたところ、直後に初めて見る他学科の女子学生さんが現れ、フラスコがほしいと言うので2個売りました。その後次から次へと飛ぶように売れ、ついに品切れになりました。2,3個はタダであげてしまいましたので、売り上げは1300円。700円の赤字です。まあ、学生さん(学生さんでない人に頼まれて買いに来た学生さんも含めて)が喜んでくれたのならよしとしましょう。それにしても、買った方は全員女性です。
研究室でも、「卒業する時に実験器具がほしい」という女子学生さんは時々います。何に使うのかきくと、「インテリアに使って、花を生ける」のだそうです。東急ハンズなどに行くと、ビーカーとかメスシリンダーが売られていて、とてもオシャレなんだそうです。「そうかなあ、トイレにメスシリンダーがあると、ヤな感じだけどなあ。」と思うのですが、皆さんいかがでしょう。男子学生からはこれまで、実験に使うガラス器具がほしいと言われたことはありません。話によると、アパートで試験管立てを箸置きに使ったり、ミクロスパテルを耳かきに使ったりする不届きものがいるとのことですが、これらは極めて実用的な使い方です。試しに学科玄関前のバラを摘んで、ビーカーに生けてみました。
|
|

|
|
|
| 2007年5月12日(土) 地球温暖化と発電バイク |
|
前回の書き込みから1月以上が経過し、そろそろ更新しないといけないなと思いつつ、面倒くさくなってきています。さて前回の最後にカーボン、炭酸ガスのことを書きましたので、今回はそこからはじめたいと思います。
皆さんご承知のように、炭酸ガス(二酸化炭素)は地球温暖化ガスであり、現在大気中の炭酸ガス濃度がぐんぐん上昇しています。このまま放置すれば地球温暖化を招き、異常気象、洪水、竜巻、天変地異、マラリアなど伝染病の拡大、害虫の蔓延、はたまた宇宙人の襲来(?)もあるかもしれないと危惧されています。
地球温暖化防止のための国際的な枠組みをきめた「京都議定書」では、日本は2012年までの5年間に、温暖化ガスを基準年(CO2は1990年度)に比べて6%削減する義務を負っています。ところが日本の温暖化ガス排出量はほぼ毎年増え続け、2005年度には13億6350万トン(環境省による速報値)に達した模様です。これは基準年の排出量12億6140万トンに比べて何と約8.1%も多い値です。つまり6%ダイエットするはずが、8%もオーバーしてしまっているのです。目標を達成するためには、来年からの5年間、温暖化ガス排出量を約14%減らさなければならず、これはとても困難です。ではどうやれば達成できるでしょうか?
|
|

|
|
政府は、国民にライフスタイルの見直しを求める「チーム・マイナス6%」というのを始めました。日本経団連に参加する電力や製造業などの業界団体に温暖化ガスの削減を求めるなど、さまざまな方面から手を打っていますが、抜本的な削減策を見出せぬまま2008年を迎えようとしています。「京都議定書」には罰則も設けられていますが、それより何より「京都」と名の付く国際的な約束事を、当の日本が守れないというのはさすがにまずいと思われます。そこで2008年を目前にした政府の頼みの綱が、他国で温暖化ガスを削減するのと引き換えに発行される「排出権取引」です。簡単に言えば炭酸ガスを出す権利をお金で買う、つまりお金で片を付けようという方法です。
ではどうして日本でこんなに炭酸ガスの排出量が増えているのでしょう。日本の家電や自動車などの製品や企業の生産工程は、エネルギー消費効率が他国に比べて飛び抜けて高いとされています。でもいくら効率が高くても、たくさん消費すると炭酸ガス排出量は増えます。バイオエタノールやバイオディーゼルなどのバイオ燃料はカーボンニュートラル、つまり元は大気中の炭酸ガスなので排出量にカウントされません。しかしサトウキビや穀物などの食糧からエタノールを作るのは食糧不足を招きますし、セルロースなどの木質系バイオ燃料の製造にはまだまだ高いハードルがありそうです。やはりここは皆さんひとりひとりが自覚を持って、暑い夏にエアコンの効いた部屋で大画面テレビを見て過ごし、近くに行くにも車で行くという生活を我慢しないといけないかもしれません。
|
|

|
|
話は変わりますが、春は健康診断の季節です。だんだん高齢化してくると、健康診断結果に要注意とか、要再検査などの項目が並びます。いわゆるメタボリックシンドロームです。この原因としては食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足などが深く関わっており、健康に関心の高い人はジムなどに通って汗を流します。都会では、街角のガラス張りのジムの中で、たくさんの人がエアロバイク、ランニング、ボードこぎなどをしています。通りを歩いていて、あれを見るのはいやなものです。特に中年男性が必死に走っている姿など悲惨です。どうしてガラス戸越しにこっちを見ながら走るのでしょう。彼らは「運動してるぞ!」って優越感を感じているのでしょうか。こっちは「運動してないだろっ」と責められている気分になります。何より「絵的に美しくないぞ」。
発想を変えましょう。これらの機器は、運動量が数値で出ます。つまり電気を消費しているのです。たまりにたまった脂肪や糖質のエネルギーを燃やしているのですから、このエネルギーで発電してはいかがでしょうか。エアロバイクやランニングマシン、ボードこぎマシンに発電機をつけましょう。積算運動量は積算発電量で表示しましょう。こうすれば太陽光発電や風力発電が作り出す電力量を、ぼーっとメーターを眺めているよりよほど積極的な発電ができます。エネルギー資源の節約にもなり、何より健康に寄与します。ジムではなく事務室では、机の下に三輪車のようなペダルを付け、発電しながら働けば仕事をしながら健康の維持増進ができます。国際線の座席に小型発電機をつければ、エコノミークラス症候群を防げるかもしれません。要はモチベーションの問題です。現在憲法論議が盛んですが、もう一歩進んで「日本国民は発電の義務を負う!」なんてことになれば、画期的ではないでしょうか? 人の集まるところに、デザイン性に優れた発電バイクを置き、待ち時間に軽く発電するなんてオシャレじゃないですか。誰かこんな発電機を作ってくれないかな。 |
|
 |
|
|
| 2007年4月11日(水) 新入生合宿オリエンテーション |
|
今年もいよいよ新入生が入学して来ました。
本学は毎年4月6日に入学式が行われます。入学式の風景はおそらくどこも似たようなもので、つい2.5週間前に行われた卒業式とは大違いです。卒業式では、皆さん穏やかな表情をしています。入学式での新入生の表情はおしなべて硬く、期待というより「不安」や「居心地の悪さ」がひしひしと伝わってきます。
このような不快感をできるだけ早く払拭し、新しい友達と打ち解けてスムーズな大学生活をスタートさせるべく、本学では入学早々1泊2日の新入生合宿オリエンテーションを行っています。本学科は今年、「ふくやま ふれ愛ランド」に行きました。ここは福山市が運営する施設で、大学から車で約15分と大変便利です。
初日は入所式に引き続いて昼食、午後はソフトボール大会です。これが盛り上がりません。まだ会ったばかりで名前も知らない人たちがチームになって試合をするので、フラストレーションが溜まります。お風呂で汗を流した後、夕食、自由時間、就寝と続きます。消灯時間が過ぎても、遅くまでおしゃべりをする部屋もあり、ようやく打ち解けてきます。
2日目の午前中はオリエンテーリング。「ふくやま ふれ愛ランド」のオリエンテーリングコースは充実していて、大変なアップダウンです。このコースを6、7名ずつの班に分かれて歩くのですが、これがただのオリエンテーリングではありません。題して「食材争奪 大オリエンテーリング大会」です。つまり昼食の飯盒炊爨、カレー作りのために、5箇所のチェックポイントではクイズに答えるなどして肉、野菜、ルーなどの食材をゲットします。獲得した食材によって、お昼ご飯のクオリティーが変わります。「合ハイ」と言う言葉はすでに死語になっていますが、薫風香る春の陽気の下、おしゃべりしながら自然の中を歩くのは楽しいものです。ただ普段運動不足の教員にとって、このアップダウンのコースはかなりこたえました。息が弾んで、話が弾みません。
|
|

|
|
さて最後はお楽しみの飯盒炊爨です。まきを使って料理するのは久しぶりです。またおなべでご飯を炊くことはあっても、飯盒を使うのは何十年ぶりでしょうか。新入生の皆さんはオリエンテーリングでゲットした食材を使って、結構手際よく料理していきます。もうこのころになると友達もたくさんでき、和気藹々とした雰囲気です。後から行ったアンケートでは、この飯盒炊爨が一番楽しかったようです。さて料理の出来栄えは・・・ いろいろです。水の量を間違えてカチカチのご飯が出来上がったり、大量のおこげができたり。これもご愛嬌です。一方カレーは結構うまくできました。それぞれ班によってルーや具が違うので、いくつかの班のカレーを食べ歩くと結構楽しいです。
おなかがいっぱいになったところで後片付け。さすがにまきで料理をしているだけにおなべは煤で真っ黒け。普段は意識しませんが、おなべの煤や石炭のように炭化したご飯を見ていて、「木もお米も炭素でできているんだ!」と再認識しました。これが酸素と結びつくと二酸化炭素の出来上がり。地球の温暖化を防ぐため、この二酸化炭素の発生をいかに抑えるかが世界的な問題になっています。これもグリーンサイエンスの取り組むべき重要な課題の1つです。
|
|
 |
|
|
| 2007年4月5日(木) 桜の名所 |
|
またまた久しぶりの更新です。
前回は卒業式までの1ヶ月におこった出来事を書き連ねましたが、3月の終わりは学会などがあって、ややのんびり過ごしました。4月になって新年度が始まると、キャンパス内の桜も咲きはじめます。この冬は暖冬で、桜前線が記録的に早く北上すると予報されていましたが、学内の桜の開花は例年通り。4月6日の入学式に、ちょうど満開になりそうです。
福山大学構内は隠れた桜の名所です。近隣で本学以上の桜の名所は無いのではないかと内心思っています。週末はお天気にも恵まれ、花見客が桜の下でお弁当を広げる姿が多く見られました。個人的には誰もいない無人のキャンパスで、しんしんと咲く桜が好きです。俗化するのはいやなのですが、近隣の皆様が桜を通じて大学に親しんで頂くのは、大学にとってもいいことだと思います。
いつも思うのですが、桜の木の下で宴会をしている人たちを見て、桜は何を思っているのでしょう? 根を踏まれて痛いので、花びらを散らして仕返ししているのかもしれません。
生命工学部の中庭はレンガ敷きで、花びらがレンガの上をさらさらと渦を描いて流れていく様子は、コントラストが鮮やかでとてもきれいです。まるで花びらが自分の意志を持ち、離合集散を繰り返しているようで、なんだか生命の営みを見つめているようです。
|
|
 |
|
|
| 2007年3月22日(木) この1ヶ月の出来事 |
|
約1月ぶりの更新です。
この間更新が滞ったのには、「めんどくさかった」などのほかにも理由があります(でも「めんどくさかった」が一番大きな理由かも?)。その一つは月並みですが「多忙」です。それではこの一月におこった月並みな出来事をご紹介しましょう。
先ず2月下旬には卒業論文発表会と、修士論文発表会がありました。卒論発表会はひとり7、8分、修士論文発表会はひとり20分程度で、いずれも1日仕事です。応用生物科学科の卒論発表会は、前回書きましたように気合いが入っています。どのような研究発表がされたのかちょっと紹介しますと、野菜に含まれる創傷治癒成分の研究、環境に蓄積する有害化学物質を分解する微生物の研究、澱粉の加工特性とその構造との関連性、目薬に含まれる緑内障治癒成分、食品加工残渣などを資源化する微生物・酵素の研究、ダイオキシンなどを検出する植物の研究など多岐にわたっています。修士論文発表会は、これらのテーマに生物工学科や海洋生物工学科のテーマが加わり、一部白熱します。
3月にはいると修士1年生による中間発表会があります。これはひとり10分少しの時間で、現在取り組んでいる課題の説明と研究の現状、今後の計画と課題などについてプレゼンします。修士1年生の中間発表会を、学部をあげて行うところは少ないのではないでしょか。
グリーンサイエンス研究センターでは、3月はじめにポスドク学生による研究成果報告会が、また3月12日の月曜日には奈良先端科学技術大学院大学の新名惇彦先生が来られ、セミナーを行われました。新名先生は、「不都合な真実」のアル・ゴア並の迫力で、ひたひたと忍び寄る地球温暖化など喫緊の問題をこれでもかと提示され、「これを解決出来るのは植物バイオテクノロジーだ!」という展開は説得力がありました。先生は全国各地でご講演されており、「植物力」という本も上梓されておりますので、ご興味の方はお読み下さい。新潮社で1000円です。
最後になりましたが、3月20日の火曜日に卒業式が挙行されました。今年の卒業式は、答辞を読んだ薬学部卒業生の方が、途中から涙で言葉にならなくなるという誠に感動的な式でした。その後応用生物科学科の卒業生は1821教室に移動して、卒業証書や各種表彰状授与の後、記念撮影をしました。昨年から授与式の最後に「卒業記念アルバム」の上映を行っています。全員の入学時の写真から始まるのですが、必ず悲鳴があがります。姿形が変わらない人、すっかり変わり果ててしまう人、色々です。4年間あっという間でしたが、時間は確実に流れていると感じます。その日の夜はレストランで謝恩会兼送別会です。下級生や卒業生もJOINして、とても楽しい時間です。この日のために1年間頑張ってきたんだと毎年思います。社会に巣立った卒業生のみなさん。どうぞ力強く羽ばたいて、これまで培った力を遺憾なく発揮して社会に役立つ人になって下さい。
PS 最後になりましたが、菊田先生の「Tomatoブログ」が2月27日で終わってしまいました。現在トマト温室は何も植わっていない状態で、4月の再開に向けて地味を培っています。ただし4月からはトマトではなく、メロンやカボチャになると聞いています。そうなると「Tomatoブログ」ではなくて、メロンブログ?、カボチャブログ?
|
|

|
|
|
| 2007年2月19日(月) 卒業研究発表会 |
|
毎年2月下旬は修士論文発表会や卒業論文発表会の季節です。どこの大学でも大学院の発表会はきちんとやられていると思いますが、卒業論文発表会を学科単位で、それも学会形式できちんとやるところは昔に比べて減ってきているように思われます。その理由として、国公立大学の多くが大学院大学として再編され、学部向け教育の比重が減ったこと、教員削減に反比例して日常業務が増えたこと等色々考えられます。それ以前に卒業研究単位が必須でないところもたくさんあります。
これに対して福山大学生命工学部では、昔ながらに学会形式の卒業研究発表会を続けています。毎年2月の初旬と中旬は学生と教員が渾然一体となって、発表準備その他でてんてこ舞いです。研究内容やレベルは人それぞれで、中にはそのまま学会発表してもちっとも不思議でないものも数多くあります。
最近の発表と昔の発表を比べて一番違うのは、プレゼンテーション技術の進歩です。現代の学生はパワーポイントなどプレゼンテーションツールを自由に操って、目に鮮やかなスライドを作ります。中にはデザインセンスが特に優れた人がいてとても感心します。でもよく考えてみると、実験量は少なく、データの質は低く、論旨が通ってないのにもかかわらず、何となくきれいな発表というのもありえます。学生さんのスライド作りを見ていると、得られた実験データをいろいろな方面から検討するよりも、字のフォントや色、背景やイラスト、特にアニメーションの設定に心血を注ぐ傾向があるような気がします。いっそのこと、簡単な1つの表やたった1枚の写真からどれだけたくさんの事実が読み解けるか、実験データの裏にどのような背景が潜んでいるか。頭をフル回転して論述するような発表会もおもしろいと思います。
|
|

|
|
|
|
|
| 2007年2月5日(月) キャベツの話 |
|
応用生物科学科の最上階に陣取る食品機能科学研究室(里内教授、田中助教授、坪井助手)では、体内における油の働きについて研究しています。油にもいろいろありますが、私たちは特にリン脂質と呼ばれる油を研究対象にしています。リン脂質は細胞膜を作っている成分ですが、細胞の活動を調節するホルモンのような働きをするものもあります。それが今回のお話の主役「リゾホスファチジン酸(LPA)」です。
LPAには細胞の動きを活発にし、増殖させる働きがあります。つまり、培養細胞にLPAをふりかけると細胞はグングン分裂増殖するわけです。LPAはどんなときに活躍するのでしょうか? 多くの研究者が調べている最中ですが、どうやら傷を修復させる時に一番活躍するようです。つまり傷ついた組織があると、LPAが周りの細胞に働いて、移動を促したり増殖させたりして、傷の修復を早めるのです。
「LPAが傷を修復するなら、LPAを含む食品は消化管潰瘍に効くのでは?」と考え、調べてみる事にしました。すると、キャベツやダイコンなどアブラナ科の植物にLPAが多いことがわかりました。一方、牛肉や豚肉、魚肉にはほとんどありませんでした。さらに、消化管潰瘍に効くとされる生薬にもLPAが多く含まれることがわかりました。つまり消化管によいと伝えられる植物素材の多くがLPAを持っていたのです。今はキャベツからとってきた脂質がほんとうに創傷治癒に効くのかどうか、培養細胞や実験動物を使って調べています。
ちなみに、七草粥はお正月の暴飲暴食で痛んだ消化管を休める効能があるとされますが、七草のうち、三草がアブラナ科の植物です(スズナ、スズシロ、ナズナ)。古人は経験的にLPAを含む植物を知っていたのでしょう。 「まてよ、七草の中にどうしてキャベツが入ってないの?」 実はキャベツがなじみになったのは明治の終わり頃で、七草の伝統が築かれる頃の日本にはなかったのです。来年からは七草粥にキャベツもいれて八草粥にするのはどうでしょう。暴飲暴食で痛んだ消化管を治癒する効果が大幅にパワーアップするかも。 味はたべてのお楽しみ。
|
|

俺も仲間に入れろー!
学名 Brassica oleracea var. capitata
Brassica : アブラナ属 oleracea : 菜園の,畑に栽培の capitata : 頭状の,頭状花序の
Brassica(ブラシカ)は、 古いラテン名でキャベツ。
|
|
|
| 2007年1月23日(水) 「発掘!あるある大辞典」 |
|
日曜夜の人気番組、「発掘!あるある大辞典U」が急遽放送打ち切りになりました。この経緯については詳しく報道されているのでここでは述べません。
以前からこの番組については様々な意見があり、シロインゲンのような問題が起こったことも記憶に新しいところです。この番組では、実際にヒトを使った実験で、取り上げた食品や食品素材の効果を確かめています。毎週みていて感心するのは、見事に番組の意図に添った結果が、しかも短時間であらわれることです。また被験者がビックリする様子はドラマチックです。
食品の研究に関わる研究者はもちろん、関わらない一般の方にとっても、食べ物が持つ効能を人間を使った実験で実証するのがどれほど大変なことか、想像はできると思います。最初は「なんてアバウトな実験なんだ。これは限りなく詐欺や欺瞞に近い。」と思ってみていましたが、だんだんと、番組自体が一種のエンタテイメントであると理解するようになりました。つまり、科学的には正しくないかもしれないと分かっていて楽しめるバラエティー番組ですね。
この番組、不人気番組であったならこのような問題にならなかったかもしれません。今回はスーパーの棚から納豆がごそっと無くなったりして目立ちました。また聞くところによると、日曜夜のゴールデンタイムで平均15%を越える視聴率をたたき出すそうです。こうなると、製作会社が良い数字をあげ続けるために、よりセンセーショナルなものを取り上げ、よりクリアカットな実験結果を出そうと無理に無理を重ねたとしても不思議ではありません。これは最近頻発する、スター研究者によるデータ捏造と同じ構造です。
食品の研究は本当に難しい。薬のように単純な成分からなるわけではなく、食品中にはいろいろな物が混在しています。またそれを食べるヒトも千差万別で、個性があります。ヒトを対象とする以上、実験手法にも制約が多いのです。マウスやウサギで効果があっても、ヒトでは全く効果がなかったり、正反対の働きをすることさえあります。食品の持つ効果や作用を、ひとつひとつエビデンス(証拠)に基づいて実証していくのもグリーンサイエンスの役目です。
|
|

|
|
|
|
|
| 2007年1月22日(月) センター試験 |
|
1月20、21日の2日間、福山大学で大学入試センター試験が行われました。福山大学がセンター試験会場になるのは今年が初めてです。昨年まで福山市内で1カ所しか試験会場が無く(しかも受け入れ人数が少ない)、近隣の高校生は遠方まで受験に出かけなければならなかったので、本学で受験出来るのは福音になったと思います。
思い返せば今から30年近く前、当時は共通一次試験といっていた頃にこの統一試験を受けました。あの当時、約30年の年月を経て、試験監督をする立場になろうとは思いもよりませんでした。そこで当時とくらべて共通試験がどのように進化を遂げたか、大変興味を持ちました。結論から言うと、それほど劇的な変化はなく、「あまり変わってないな。」というのが感想です。マークシートが棒を塗りつぶすタイプから、丸を埋める様になったとか。もちろん科目名は変わっていて、昨年からリスニングが導入されたのは大きな変化です。でも英語リスニングの必要性は当時から叫ばれており、導入に30年近くもかかったのですね。
リスニング試験に用いたICプレーヤーは試験終了後持ち帰れるのですが、驚いたのは多くの受験生が机に放置したまま帰ってしまったことです。もう使い途がないとしても、昔だったらみんな記念に持ち帰ったと思います。時代が豊になったのか、物を大切にしなくなったのか。とにかく1回の試験のためにICプレーヤーが60万個程度製造・廃棄されるのですから、もったいない気がします。自然環境の保護と天然資源の有効利用、持続可能な社会の実現を目指すグリーンサイエンスとしては複雑な心境です。
このリスニングテスト。昨年はトラブル続出だったので、教職員はかなりの時間をセンター試験の準備と練習に費やしました。結局ICプレーヤーにトラブルはなく、また運にも天候にも恵まれ、大きなトラブルもなく無事センター試験を終えることができました。受験生の皆さんは考えもしないと思いますが、日頃の勉強の成果を遺憾なく発揮し、快適に受験して頂けるよう、教職員も受験生に負けないパフォーマンスを出すべく努力しています。
最近は教育問題が国を挙げての関心事です。かつて受験競争が激しかった頃、「受験は若者の青春をゆがめる」などと言われて、誰もが必要悪だと思っていました。それが現在では国を挙げて「ゆとり教育は間違っていた。文科省の失敗だ。」と叫んでいます。議論が極端です。おそらく真実はこの両意見の間にあるのでしょう。試験には、ほかの全てのことと同じくいい面も悪い面もあります。でも試験ながなくなってしまっては、勉強する目的が曖昧になり、モチベーションも上がらないのではないでしょうか。全力で勉強し、全力で試験に望めば、たとえ結果がどうであろうと得られるものは大きいのではないかと、真剣な受験生を見ていて思いました。
|
|

広島ホームテレビ ニュース ここ
|
|
|
| 2007年1月17日(水) イントロンの意味 |
|
イントロンとは遺伝子DNAの中に書き込まれているものの、アミノ酸配列情報を持つエクソンと異なり、スプライシングによって一次転写産物から削りとられてしまう悲しい運命を持つ配列を指します。一見無駄なイントロンですが、その意味としてエクソンシャフリングなどにより少ない遺伝子から多様なタンパク質を生み出すなどの働きがあると教科書には書いてあります。しかし、もしイントロンが無くても、ほかに手はいくらでもあるような気もします。何もあんなに長いイントロンをわざわざ挟む必要はあるのでしょうか。
1年生にイントロンについて講義した際、イントロンの意味としてどんなことが考えられるか聞いてみました。本学科の学生さんは授業中よくしゃべります。これは私語が多いということではなく、問いかけるといろいろと意見を言ってくれますので、一方通行の授業にならずに助かります。そこで出た意見を紹介しますと、最初に「放射線などでDNAが損傷を受ける時、エクソンを分散して保存しておけば安全。」というもの。これは「卵はひとつのカゴに盛るな」に近い考え方で、何となくイメージが湧きます。次は「かつて必要だった遺伝子がいらなくなり、そのまま捨てられずに残っている。」というもの。昔着ていた服で、ちょっといいものは、体型も流行も変わっているのに捨てられずに、クロゼットの肥やしになっていることがあります。それと関連する意見として「今は使わないけれど、将来役に立つかもしれないから持っている。」というもの。よくテレビに出てくる「ここにもあった!平成のゴミ屋敷」などもこのケースかもしれません。ほかの人から見ると、どう見ても不要なものなのに、本人には宝物に見えているということがあるかもしれません。最後の意見は「もし必要なものしか無くて、世の中に一切無駄なものがなかったとしたら、生活に余裕が生まれない。精神衛生上、意味のないものがある事自体意味がある。」というもの。これは身につまされます。やはりイントロンぐらいないと、遺伝子も世知辛くて窮屈でしょうか。
これらの意見は、科学的かどうかはともかくどれもおもしろいものです。色々愉快なことを考えて教えてくれるのがうちの学生さんのいいところです。
|
|
 |
|
|
| 2007年1月5日(金) 植物・エネルギー・農業 |
|
大学は今日から仕事始めです。 特に何か分かった事があるわけではありませんが、何となく引き締まる気がします。 今にして思えば1週間も経っていない年末のあわただしさがうそのようです。 さて昨年はいろいろな事がおこりました。 その中でグリーンサイエンスに関係するのは、石油、ガソリンなどのエネルギー、農産物、金属など各種資源の高騰でしょうか。 石油の値段が一気に上がったのは、投機マネーの流入が原因ではあるものの、やはり原油は限りある資源です。 いつかなくなってしまいます。 石油の代替燃料として昨年来注目されたのは、サトウキビなどから作るエタノールと、パーム油などから作るバイオディーゼルです。 そのおかげで食用としての砂糖やパーム椰子が値上がりして、一部は品不足になりました。
ブラジルでは車の半分以上がアルコールで走っています。 燃費などの性能はあまり変わらず、値段はガソリンよりアルコールの方が安いそうです。 ちょっと日本では考えられませんが・・・ 考えてみると、日本よりブラジルの方が、エネルギー先進国かもしれません。
日本では3Kの代表みたいに言われ、若い世代に人気のない農業ですが、「やり方や制度が悪いだけ。やり方次第で農業は儲かる!」とおっしゃるのは、本学科の客員教授でもある大塚ホールディングスの梅津憲治先生。 本当に儲かるかどうかはわかりませんが、これまで地味だった農業分野に、今後徐々に注目が高まると思われます。 でも、なんと言っても「土は生命の源(海かもしれない・・・)」です。 仕事をリタイアして、農業や陶芸を始める人があとを絶たない事からも、この分野が本当は魅力にあふれた世界である事が分かります。
|
|

http://www.burger.si/Brazil/SaoPaulo/1_SP_12.html |
|
|
| 2007年1月1日(月) 謹賀新年 |
|
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
応用生物科学科が2004年にグリーンサイエンスをはじめてから今年で4年目になります。 グリーンサイエンス元年に入学した新入生は、今年4年生になり、卒業研究などでグリーンサイエンスの果実を収穫する時期を迎えました。 ちょっとここで4年前に作りましたグリーンサイエンスのパンフレットをふり返ってみましょう(here、pdfファイル)。 これを見るとグリーンサイエンスに基づく本学科の研究教育の基礎は、植物環境工学、植物栽培工学、グリーンケミストリー、食品機能工学を4つを主要な分野とし、教育プログラムとしては産官学連携と実際にハイテク温室で植物を育てるという点がユニークな取り組みです。
それ以来研究面ではグリーンサイエンス研究センターが開設され、ここを拠点にダイオキシンをモニタリングする遺伝子組み換え植物の開発や、サントリー、大塚化学ほか地元企業や、同じ福山市に本拠地を置く近畿中国四国農業研究センターなどとの教育・研究交流の環が広がっています。 また植物遺伝子工学技術をフルに活用して青いバラを開発したサントリーの田中良和先生を客員教授に迎え、ハイテク温室では1年中美味しいトマトが食べられるようになりました。
|
|

サントリーの青いカーネーション |
|
|