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国際経済学科 オリジナル
Department of International Economics

福山大学と提携した中国・河北大学を訪問




中国・河北大学との交流

 10月27日~28日、経済学部税務会計学科の許(きょ)教授と同国際経済学科教授・萩野(はぎの)が、本年7月に福山大学と提携した中国・河北大学を訪問し、学術交流や留学生募集を行ってきました。
河北大学のある保定(ほてい)市は、北京から車で3時間ほどの中規模都市(といっても人口2百万人超)で、かつて、首都の安定を保つ役割を帯びることから保定市と命名されたそうです。清朝時代の保定直隷(直轄地)総督には、中国近代史でお馴染みの李鴻章や袁世凱も就いていたそうです。観光地となっている総督署には、李鴻章と森有礼が会談している像がありました。当時駐清公使であった森有礼が、1875年の朝鮮での武力衝突(江華島事件とその後の日朝修好条規)に対する中国の姿勢を探るために来た、と中国人のガイドさんが教えてくれました。当方からは、森有礼は、その後初代の文部大臣になったと教えて差し上げましたが、どうでも良いという感じの反応でとても残念でした。

 そのようなことにめげることなく、以下、河北大学との学術交流について報告します。


1. 河北大学・日本研究所との意見交換

 河北大学・日本研究所は、1964年に当時の周恩来首相の命により設立されたもので、2014に50周年を迎えました。同様の日本研究所は、吉林大学、遼寧大学、東北師範大学にしかありません。設立当時は、日本の政治、社会、経済等を幅広く研究していたそうですが、現在では、日本経済を集中的に研究しています。福山大学経済学部としては、学術交流の格好のお相手です。
 今回は、27日の朝から、同研究所の裴(ペイ)副所長をはじめとする先生方や、大学院の学生の方々と意見交換を行いました。座談会と言われたので、肩の力を抜いて臨んだところ、3時間ぶっ通しの経済論議となりました。



例えば先方から、「バブル崩壊後の日本の失われた20年は、現実か幻想か」と問われました。当方からは、GDPが伸びないことをもって失われたと言われるが、家計の所得がもっと大きいはずだとの指摘があること、また、投資については、企業は国内での実物投資よりも海外M&Aを志向する傾向がありGDPの伸びを抑えているが、海外M&Aによって得た収益によって企業の懐は潤っていること、等を指摘しました。しかし、物価が上昇せず、家計や企業のマインドも十分に上向かないことは事実である、と説明しました。
当方からは、中国の新常態と言われる経済成長の鈍化について質問しました。先方の応えは、政府の誘導により、生産財産業から消費財産業への産業構造転換を図る過程で生じている素材産業等での供給超過、とのこと。「中国国内できちんとした消費財が生産できないから、中国人は日本に行って爆買いをするのだ」とか。
 さらに、対外投資と国際貿易の関係について意見交換をしました。議論の内容は別稿に譲るとして、「トーツー」と「マオイー」の中国語単語が多用されていると気付き、トーツーが投資として、マオイーはセーターか?..と思っていたところ、マオイーは貿易の中国語読みで、セーターのマオイーとは四声(イントネーション)が違うと、後で許先生に教えてもらいました。まさにこれが中国語の難しさですね。
ところで、福山大学の学部の壁を越えた研究プロジェクトである「里海・里山」にも関心を示してくれました。河北大学では、白洋淀(はくようてい)という湖の維持・開発に文理学部共同で取り組んでいるそうで、当方のプロジェクトの成果を参考にしたいとのこと。
このような論議ができる河北大学・日本研究所とは、今後、学術交流を深めて行きたいと思いますし、近い将来、トップ10などの海外研修プログラムについても、同研究所の協力の下で作って行きます。


2.グローバルバリューチェーンの分析の講義

 27日午後には、河北大学・経済学部の先生方や学生にも加わってもらい、グローバルバリューチェーンの分析について講義を行いました。内容は、国際収支の構造からみると、日本は、貿易サービス収支が赤字になるなど老化しつつあるように見えるが、日本企業は、海外で生産ネットワークを作っており踏ん張っている。これを的確に把握するためには、OECDが開発した付加価値貿易指標を利用するのが有用、というものです。詳しくは、月曜4限、萩野教授の「英語で学ぶ国際経済」の講義にて。




講義後の質疑応答では、賢そうな女子学生から、「国際収支構造の老化を防ぐにはどうしたら良いか」との質問を受けました。当方からは、旅行サービスの提供、パテント料やロイヤリティーといった技術料の獲得、さらには、対外投資の収益率を上げるための海外現地企業の効率経営、によって、日本は経常収支赤字化を防げるかもしれない説明。自らも、柔らか頭で考えてみて欲しいとアドバイスしました。
 日本研究所の教員・学生の方々は、付加価値貿易指標について高い関心を示しました。「1995年から2011年にかけて、日本では国内付加価値が10%程低下しており、輸入中間財を利用するようになったが、中国で逆に、国内付加価値が上昇している。これは、中国において、中間財を供給する企業が成長してきたからだろうか?」といった問題提起に対しては、福山大学との共同研究の可能性を模索したいとの反応がありました。なお、河北大学の後に訪問した、天津科技大学、広州の中山大学、湖南大学、上海師範大学でも同じテーマで講演を行いましたが、各地で関心が寄せられたところです。下の写真は中山大学での講演の宣伝で、全球価値鍵分析が中国語訳のようです。中国語では「全球」がグローバルを、「鍵」が日本語の鎖を意味するとか。



3.恒例の卓球交流

 現役の体育学部学生に散々やられた貴州師範での経験を踏まえ、今回は、教職員の卓球部と戦いました。同部は、偶数の曜日、星期(シンチー)2・4・6・天(火・木・土・日)に練習しているとのこと。なかなか本格的です。個人戦では2勝4敗と善戦しましたが、痛快だったのは、団体戦。不肖萩野も入れてくれるというので、チーム分けのグジを引いたら白紙。審判です。お客さんを特別扱いしないのが「大陸的」なやり方かと思いながら渋々、アール・ビー・スーとか中国語でやってみました。中国語では、2対4の「対」が「比」になるそうです。発音矯正のご指導などもあって、良い中国語の練習になりました。やはり語学は、現場に飛び込んで行くのが一番ですね。次回は、許先生の日中通訳の助けを借りずに河北大学で活動するぞ..と日記には書いておこう。



4.おわりに

 こうした交流や留学生募集を終え、週末には、本学OGの許萌(きょほ)さん(下の写真の右側の女性)に、保定市郊外の狼牙山に連れて行って頂きました。



許萌さんは、河北大学で医療統計を学んだ後、本学経済学部研究科に留学し、2015年3月に卒業。その後中国に帰国し、保定市の病院で働いています。今後河北大学を訪問する本学の教員・学生は、病気になっても心配ないですね。
 ところで狼牙山は、中国共産党軍が日本軍に抵抗した舞台として有名なところ。共産党軍や市民を逃がすためにおとりになった中国人兵士5人が狼牙山に逃げ込み、全員が断崖絶壁から身を投げて2人だけが生き残ったとのこと。中国では、この英雄的な出来事を中学校で教えるため、中国の方は皆、狼牙山の名前を知っているとのこと。鈍感力が自慢の不肖萩野も、居心地の悪さを感じたところです。しかし人間は、今のところ過去を変えることはできません。日中関係について今後起こることで、ベストをつくして行くしかないでしょう。
以上、報告まで。



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