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平成20年度「学生による授業に関するアンケート調査」に関する報告と学生への対応について

福山大学自己評価委員会

 平成20年度の「学生による授業に関するアンケート調査」は、その調査結果を当該授業期間中に学生へ必ずフィードバックすることを最重要課題として実施した。授業担当教員が学生による授業評価結果を踏まえて、講義の手法に工夫を凝らし、理解しやすくするためのもので、教員と学生の相互の協力と信頼が不可欠である。今までの授業評価では、当該授業の期間中に学生へフィードバックを行っておらず、このアンケート調査がどのように授業改善に活かされるのかが学生へ明確に示されていなかった。この点が、授業に関するアンケート調査の改善すべき大きな問題点であった。アンケート調査の実施時期は学生へフィードバックする時間を考えて、全授業回数の約半数の時点で行うことが既に自己評価委員会で了承されている。そこで、「学生による授業に関するアンケート調査」を実施した後は、速やかに当該授業担当教員に授業評価結果を通知し、その結果を基に授業改善策を検討した上で調査結果の説明と改善策について講義終了日までに学生に必ずフィードバックして頂くことにした。福山大学における教育改革には、教員の授業に対する真摯な態度とこの学生にフィードバックを確実に行うことが不可欠であると考える。従って、平成20年度の「学生による授業に関するアンケート調査」による授業評価結果を授業期間中に学生へのフィードバックを確実に行うことを目標に以下のように実施した。
 すなわち、学部・学科内の教員間で、アンケート結果を共有する教員に速やかに結果を通知し、最後の講義までには評価結果を踏まえて、学生にその結果や授業改善等の具体的方法についてフィードバックを行う。従って、例年の実施時期は講義終了日までとしていたが、平成20年度は11月に本学全教員(非常勤講師も含む)の担当する後期授業科目についてアンケート調査を実施した。平成20年度は後期実施とし、集計結果を速やかに教員及び学生にフィードバックするため遅くとも11月15日までには完了させることにした。教員個人の結果は、学外には公表しないものとした。以下に、授業評価部会で決定した授業アンケートの実施に関する指針を述べる。

 
  1. 全教員(非常勤講師も含む)が授業評価を年1回受けるものとする。授業アンケート調査は前期と後期に実施する。各教員は、原則として前期又は後期のいずれかで年1回授業評価を受けるものとする。
  2. 質問項目については、授業評価部会で検討し、自己評価委員会で決定する。
  3. 評価を受ける科目は1科目とし、担当教員がアンケート調査を実施する。なお、調査終了後、速やかに事務室へ調査結果(マークシート)を提出する。
  4. 原則として、前期の調査は5月31日、後期の調査は11月15日までに終了させる。評価結果は速やかに集計し、当該教員に通知する。当該教員は評価結果に基づいて、講義終了日までに評価結果及び授業改善策等を必ず学生にフィードバックする。
  5. 全体の評価結果については、授業評価部会で検討し、自己評価委員会の承認を経てその結果をホームページ上で公表する。
  6. 教員個人の評価結果については、学外に公表しない。
  7. 評価結果の情報は学科内の教員間で共有し、学科内で授業改善法について検討するものとする。
  8. 評価の著しく悪い科目については、授業改善計画報告書を自己評価委員長に提出するものとする。
  9. 教員個人の評価結果は、自己評価委員会の各学部授業評価部会委員が責任をもって配布するものとする。

学生による授業アンケートの結果を踏まえて

授業アンケートの実施方法は前回と同様で、マークシート方式と自由記述欄への意見記入の方法を採用した。調査対象科目は191科目で、アンケート回収率は全受講者数の82%であった。可能な項目については、五段階評価や達成割合をパーセント表示することにより、回答を点数化し、一般教養科目、各学部、全学の平均値を算出した。その結果を表1に示す。

  一般教育科目 経済学部 人間文化学部 工学部 生命工学部 薬学部 全体
学生の態度 3.36 3.35 3.22 3.16 3.04 3 3.12
授業の分かりやすさ 3.78 3.67 3.61 3.28 3.68 3.46 3.54
授業への関心度 3.64 3.63 3.55 3.43 3.69 3.42 3.52
やる気になったか 3.67 3.65 3.57 3.52 3.73 3.57 3.6
授業の進度 % 75 70 73 64 78 67 70
教員の話し方 4.13 4.12 4.1 3.85 4.19 3.89 4
板書の仕方 4.04 4.08 4.15 3.89 3.97 3.8 3.93
教科書の適切さ 84 77 78 73 84 84 81
映像授業での理解度 4.09 3.94 4.11 3.79 4.14 3.96 3.99
授業時間を守っている割合% 90 91 89 94 96 95 94
授業に集中している割合% 35 38 35 40 41 45 41
私語の少なさ 4.06 4.05 4.14 4.2 4.7 4.37 4.31
教員の熱意 4.16 4.19 4.11 4.03 4.27 4.15 4.15
質問への対応 4.52 4.43 4.47 4.35 4.53 4.47 4.46
学生の満足度 4.09 4.02 4 3.84 4.07 3.89 3.96

学生の満足度に関しては、平均値として、一般教育科目は4.09、経済学部は4.02、人間文化学部は4.00、工学部は3.84、生命工学部は4.07、薬学部は3.89であった。全学での平均値は3.96で、学生の満足度は「満足したあるいはほぼ満足した」という状況が伺われる。しかし、一方で学生の希望や要望は多様であり、また常に変化していることを考慮すると、状況に応じた教育目標を実現して行くために不断の授業改善を心がけることが必要であると考える。個人の結果については、各学部・学科で全教員に伝えるとともに、各教員で共有した。なお、自由記述欄の意見については、当該教員にのみ伝え、その取扱いに注意した。
 平成20年度から、評価の著しく悪い科目については、授業改善計画報告書を自己評価委員長に提出することになったが、これに該当する科目はなかった。授業アンケートの結果を真摯に受け止めて、授業改善に励んだ効果が伺われる。教員のスキルとしての「分かりやすい授業」、「興味を引き出す」、「板書を分かりやすく書く」などの項目が学生の満足度を高める要因であることが伺える。さらに、教員のスキルに加え、教育に対する熱意も重要であることが再認識される。
 今回の「学生による授業に関するアンケート調査」は、最重要課題として学生へのフィードバックを掲げた。従って、アンケート項目自体に関しては、前回の平成19年度のものを、そのまま踏襲した。アンケート項目の中で、「授業評価における学生自身に係る項目」を不要又は改善する必要があるという意見もある。すなわち、教員の授業に対する評価アンケートであるべきで、学生自身に係る項目は不要ではないかという意見もある。アンケート項目の再検討については、今後の課題としたい。

授業アンケートの調査結果を踏まえての学部・学科ごとの対応について報告して頂いた。その結果を以下に示す。

I.経済学部

経済学部では、平成20年11月に学生による授業評価アンケートを実施、12月に集計結果を受け取り、1月に全教員に対し結果の開示を学科ごとに行った。各学科では、学科会議等の場において他の教員に対する評価結果も共有し、評価の低かった授業の原因を議論するとともに、評価の高かった授業での工夫等の説明を担当教員が行い、他の教員の授業内容向上の材料とした。また、対象授業においてアンケート結果の一部を学生にフィードバックし、適切な指摘に対しては直ちに改善する旨を説明した。  アンケート結果は、授業の質を向上させるための貴重な材料を提供し、学部内の議論と教員の意識改革を促すものとして有益であった。しかしながら、さまざまな学生に対し、一律の質問を行って数

値化したデータでは信憑性に疑問があるのではないか、設問に更に工夫が必要である、等の問題点も指摘されており、来年度以降のアンケート内容の改善が必要であろう。
 経済学部授業への満足度は4.02と全学平均の3.96をやや上回る結果となった。授業の分かりやすさ、学生の授業への関心、学生のやる気、教員の話し方、板書の仕方、教員の熱意、については全学平均を上回っており、それぞれの教員の努力と工夫が反映されたものとみられる。とはいえ、授業の分かりやすさ、授業への関心、学生のやる気、の3項目はいずれも3.6台であり決して満足すべき水準ではない。これらの項目については授業内容の一層の改善努力をすべきことは当然として、その解釈や改善の方向性について教員の間で活発な議論が行われた。
 第一は、「分かりやすい授業」であることが「授業の水準を下げる」ことになってしまってはならない、という点である。本来大学教育は学生が努力して知識を身につける場であり、学生の主体的な意識がなければ授業内容を理解できるはずがない。いたずらに「分かりやすい授業」のみを目的とすれば向学心のある学生の失望を招くことになる。福山大学学生にとっての教育到達目標を維持しつつ、「分かりやすい授業」とする技術の研鑽が重要である。
 第二は、授業への関心や学生のやる気の低さを如何に引き上げるかという問題である。そのためには、上述の「分かりやすい授業」を心がけるとともに、学生のモチベーションを高めるための場の設定や工夫が必要である。こうした議論から、21年度より、国際経済学科では体験型学習を含む「国際経済の学び方」を新たに開設し、税務会計学科では「税務会計事務所訪問」を課外活動に取り入れる等、新な施策を実施した。また、学生の履修登録前の理解が不十分であるため、興味のない科目を履修している可能性も指摘された。経済学部の履修科目は多岐多数に上っているため、学生が自分の将来像と合致しない科目を履修し、その結果授業への興味が持てない可能性がある。かかる問題意識から、22年度新入生に対し、幾つかの将来像に合わせた履修モデルを提示し、早い段階からよりきめ細かい履修指導を行うこととしている。
 他方、授業中の私語、授業に集中している割合、では全学平均を下回る結果となっている。これらの項目は上述の、分かりやすさ、授業への関心、やる気、と表裏一体の面が強いと思われ、これらの改善とともに、私語をする学生に対する根気よい(時には厳しい)指導努力の重要性が再度認識された。
 アンケートから浮かび上がった問題は、本質的には経済学部教育全般にかかわる問題である。これらの問題は現在経済学部が進めている教育改革の一環として解決すべき点も多く、アンケート結果をも踏まえながら、より良い学部教育の実現を目指した教育改革を進めたいと考えている。

II.人間文化学部

人間文化学部としては、平成20年11月に実施された学生による授業評価アンケートの集計結果を12月に受け取った。各学科に結果を渡し、それぞれの学科会議において授業評価の結果に基づいて、各科目の課題の検討を行った。これを受けて、12月、1月の残りの授業において、評価結果に基づいて授業の改善を実施した。さらに、4月に各学科において授業評価に基づいて、学生のニーズがどこになるか、学生の授業理解の不足の原因、対応する授業の改善点などについて意見を交換してきた。以下に、各学科の総括と対応について報告する。

<人間文化学科>

「履修の理由」では「単位が取りやすいと聞いたから」と「時間割の空白を作りたくなかったから」というのがそれぞれ7.2%と10.9%で、大学平均の2.8%と8.8%にくらべて比率が高く、学生の授業選択姿勢に受動性が見られる。このことは、授業態度や授業に対する理解度にも何がしかの影響を与えたかもしれない。
 「授業の分かりやすさ」では五段階評価で3.32であり、全学の3.53よりもかなり低い。特に「分かりにくかった」という回答が11.9%もあったことは問題であり、授業の内容やレベルを再検討し、教え方を工夫する必要がある。
 「授業への関心度」も3.35で、全学の3.52よりかなり低く、「授業の分かりやすさ」と同じ傾向にあることが注目される。学生が興味を持てない授業については、教材などに思い切った工夫が必要であろう。
 「やる気になったか」という設問でも、当然ながら「授業の分かりやすさ」や「授業への関心度」と同じ結果が出ている。しかし、「あまりやる気にはならなかった」という回答の比率が28.5%と高いのは、元から関心の持てない分野であるからかもしれない。案外、科目選択の理由がこの辺りに働いていると思われる。
 「教員の話し方」において「やや聞き取りにくかった」と「聞き取りにくかった」が合計で28.3%あり、人間文化学部全体の平均19.9%はもとより、全学平均の21.8%よりもかなり高い割合であるというのは、教員の発声方法の問題もあるが、マイクの適切な利用によってかなり改善できるであろう。また、「私語」が多ければ当然教員の話は聞き取りにくくなるのであるが、回答から判断する限りでは、「私語」の問題は過去数年間で大幅に改善されてきているので、理由は別のところにある。黒板に向かいながら話を続けたりすれば、学生は聞きづらいであろう。
 「板書」の仕方については、過去数年間の数値に比べてかなり改善されてきており、教員の努力が伺われる。
 「教科書」の難易度について、適切であるとの回答が73%である(全学平均は81%)。これは少し低いかもしれないが、「難しすぎた」と「簡単すぎた」、「不要であると思った」がそれぞれかなり存在し、学生たちのレベルのばらつきを示唆するものと考えられる。
 「映像授業」は五段階評価で4.04であり、全学平均の3.98を上回っており、教員の授業への工夫を高く評価すべきであろう。
 「授業時間」では「守っていた」が86%で、全学平均の94%からはかなり低いとはいえ、過去数年間の評価と比べて明らかに向上しており、教員の意識改革の後が伺われる。
 「授業態度」は人間文化学科としても、全学的にも、最も評価が低い事項である。授業に集中している割合が29%と極端に低い。全学平均は40%である。「授業に集中している」学生は10人に3人で、「居眠りしている」学生と「飲食をする」学生が同数ずついるという数字は、教壇から学生を眺めながら授業している私たち教員には思いもよらないことである。教員の自己評価と学生の授業評価がこの点でもっとも乖離している。学科会議では、どんな小さなことでも、とにかく授業の妨げになることは根気強く注意して排除するように申し合わせた。
 「私語」が五段階評価で4以上になり、学生がほとんど私語しなくなったということは喜ばしい。この数年間、全学的に教員が一声運動、教室内巡回を実践した成果であると思われる。「なせばなる」との意を強くして、他の分野の改善にも積極的に取り組みたい。幸い、「教員の熱意」や「質問への対応」ではかなり高い評価を受けている。結局、日々の授業への真摯な取り組みが正当な評価を得るのである。
 最後に、学生の授業評価を受けて、教員個人が対応できる範囲には限りがある。学生が興味を持てるような授業というのは、授業内容の難易度や授業方法、教材の選択なども改善の要素ではあるが、学生のニーズに応じたカリキュラムの開発など、学科全体として取り組むべき課題も多いと思われる。

<心理学科>

履修の理由として、多くの授業において「重要な授業だと思った」、「シラバスを読んで興味を持った」との回答が多かったことから、さらにシラバスを充実させる必要がある。
 学生の態度は全学的なレベルと比較して評価が低い。この項目では回答のバラツキが大きく、一部の学生の低い評価が全体の平均を下げている実態が伺われるが、一部の学生の態度が教室全体の雰囲気を悪くすることから、学科として共通認識をもって臨むべきだろう。教科書・配付資料の解説のみの授業,パワーポイントのみの授業に偏ることなく、相互交流型・学生参加型授業、授業実習や体験を取り入れた授業などを工夫する必要がある。なお,授業態度の回答は項目が多岐にわたり、複数回答でもあり、学生の授業集中を測るには問題があるようにも感じられる。
 「授業の分かりやすさ」の評価が低い場合、「満足度」などの全体的な評価が低くなる傾向が見られる。課題や小テストなど,予習・復習のリズムや習慣づけを促す働きかけをし、教員間の情報交換を重ねることにより、他の授業との相乗効果も高めていく必要がある。また,難易度の高い授業や課題負荷の高い授業に関しては、大学院生・上級生の学習支援・ティーチングボランティア制度を拡充するなど,学生の理解度を上げることも重要である。ただし、学生の評価は、学生の動機づけや予備知識・基礎学力も影響を与えるので、学生の現状や問題点あるいは学生のニーズについては学科内で有効な支援策・対応策についての情報交換を活発に行っていくことが望まれる。
 学科全体の総合評価(満足度)は学部全体や大学全体より若干高めではあるが、個々の授業について見るとばらつきが見られるので、それぞれの授業において課題となる部分については、高い評価を得ている授業を参考にするなど、教員間で工夫を共有する努力をしていく。全学的に実施しているFD研修会でも、「良い授業」のモデルを学ぶ機会があってもよいのではないだろうか。ただし、学生の総合評価(満足度)は単一の項目で聞いていることから、教員への親近感や印象に過ぎない可能性もある。学生に必要と思ってあえて難しい内容を教えているためにこの項目の得点が低くなる可能性がある。総合評価(満足度)は,項目全体の平均を採用する方がよいのではないだろうか。
 学生にとっては教育が最大の関心事であるから、教員のエフォートとして授業のウェイトを引きあげ、授業準備時間,授業中の活力の増加を目標とする必要がある。そのためには、教員の業務の合理化と学内協力体制の構築も重要な課題だと考えられる。

<メディア情報文化学科>

 履修の理由では、「必修科目」「重要な授業だと思った」が多く、次いで「シラバスを読んで興味を持った」「時間割の空白を作りたくなかった」との回答が多かった。シラバスを充実し、より分かりやすくする必要があると考える。
 学生の欠席理由では「体調が悪い」が多く、次いで「寝過ごした」が続いている。規則正しい生活リズムを含む体調管理について指導が必要であると考え、保健管理センターとも連携した指導を今後進めていきたい。
 学生の態度では、全学の平均と比較して、やや評価が高い。この項目においては、科目間でばらつきがある。宿題などの課題を出し、厳しく確認作業を行っている科目において、この評価は高いので、確認作業を各科目に浸透させていきたい。ワークショップ型や相互交流・学生参加型授業、実習や視聴覚機器を活用した授業など様々な工夫をしている結果であると考えられる。
 「授業の分かりやすさ」については、学科全体として全学平均よりやや高い評価を得ている。総じて平均より高い評価を得てはいるが、科目により、「分かりにくかった」と評されている。37名対象の実習科目で、担当教員一人で対処という授業形態の問題があった。担当教員の力量を超えたもので、アシスタントなどによる複数指導体制を取らなくてはならないと反省をしている。一方、授業方法にかかわる各項目については、大学全体より高いスコアを示している。板書や視聴覚教材の利用、など教育方法についての工夫の結果が見受けられる。今後もさらに工夫を進めていきたい。
 「満足度」などの全体評価については、4.0で大学全体よりやや高い。ほぼ満足した以上の評価を得ている。一つの科目の満足度がやや低い評価を受けたのは、実技演習で対応してもらえなかった学生からの問題提起と受け取ることができる。このことは、教員個人の力量ではなく、授業体制の課題である。対策としては、演習・実習系の授業において多人数になるときはアシスタントを含めた複数指導の体制が必要と考えた。課題や小テストなどを含めた、予習・復習など学習習慣をつけるようにする働きかけをし、また、課題負荷の高い授業については、上級生の学習支援・ティーチングボランティアなどの制度を整備するなど、学習者の理解度や習熟度を高めることも重要である。学習意欲や達成度は、学習の動機づけや予備知識・基礎学力にも影響されるので、学生の現状や問題点あるいは学生のニーズなどを学科の教員間で共有し、有効な支援・対応策について情報交換を行っていくことが必要であると考える。
 学科全体の評価結果は、大学全体より若干高めではあるが、個々の授業について見るとばらつきが見られる。それぞれの授業において課題となる部分については、個々の分野で高い評価を得ている授業を参考にするなど、教員間で指導や授業運営上の工夫を共有する努力を行っている。
 今後、本学科では、教育方法、授業研究を専門とする教員や、全学的な教授能力育成(FD)研修会などで、「よい授業モデル」や「新しい授業方法」などについて研修を進めていく。

III.工学部

工学部では、学科ごとにアンケート結果を全教員で共有し、今後の講義や学生指導に反映させることとしている。平成20年11月末に行われた「授業評価アンケート」の集計結果に基づいて、各学科での対応を報告する。

<電子・電気工学科>

授業アンケートの質問項目は多岐にわたっており、質問の中には従属的関係にある項目も存在している。これにより、総括的な評価が把握しにくいことを指摘してきた。電子・電気工学科では、アンケートの結果を以下のような手順に従い評価し直すことを試みた。これに基づいて教室会議で相互に講義の特徴の分析を行った。
 また、同時に昨年度の結果との比較も行った。その結果、全教員の評価が向上し、著しく評価の低い教員は皆無であった。このことより、当学科では、各教員の授業改善の努力の成果が明らかとなった。
 以下の評価基準を一般教育も含めた大学全体の結果に適用してみたところ、学習方略の質に関していえば、工学部、生命工学部、薬学部の評点が低く、理系科目の講義には工夫が必要であることが示唆された。このことは、当然、当学科にも当てはまることがアンケート調査の結果から明らかになった、講義の目的を学生に十分理解させるとともに、それに基づいた講義方法の改善を行うことで、学生にフィードバックすることにした。

  1. 授業の質
    以下の3項目の相乗平均
    1. 学生のモチベーション(啓蒙能力)
      「授業への関心度」と「やる気になったか」の相乗平均
    2. 教員の講義技能(講義の丁寧さ)
      「授業の進度」、「教員の話し方」、「板書の仕方」、「授業時間」、「授業態度」、「私語」の相乗平均
    3. 教員の講義態度(講義の真剣さ)
      「教員の熱意」と「質問への対応」の相乗平均
  2. 講義の難易度と目標設定の高さ
    「授業の質」と「授業の分かりやすさ」の相関
  3. 学習方略の質
    「講義の難易度」と「学生の態度」の相関

授業の質は、学生の学習意欲と教員の講義スキルと教育意欲から成り立つといえる。学生の学習意欲は履修時の初期の関心度と、講義により発現する興味との相互作用といえる。また、教員の立場からは、講義のスキルと意欲の双方が必要である。
 特に評価が難しいのが、質問項目の中の授業の分かりやすさである。分かりやすくするには、講義の手法に工夫を凝らし、理解しやすくする場合と、科目の到達目標レベルを下げる場合がある。この指標によって、各自の授業がどちらの傾向にあるかを明らかにすることを試みた。
 最後に、現在の講義手法の妥当性を明らかにする目的で、講義の難易度と学生の態度の相関から学習方略の質を抽出することを試みた。

<建築・建設学科>

 

アンケート結果の配布時期が授業残り回数3回程度であったために、平成20年度中に学生へのフィードバックは十分に行えなかったが、次年度に向けて以下の取組みを行った。

 建築系では、授業アンケート評価結果に基づき、全教員が該当授業の見直しを行い、次年度に向けた改善計画書を作成した(学科主任に提出済)。さらに、アンケート対象外科目においても、各教員が全ての担当科目に対して自己点検を行い、次年度に向けた改善計画書を作成した。土木系では、授業アンケート評価結果に基づき、全教員が該当授業の見直しを行い、次年度に向けた改善計画書を作成した(学科主任に提出済)。

<情報工学科>

情報工学科の授業アンケートの結果を各教員に公表した。平成19年度のアンケートで、満足度が平均3.5であったものが平成20度のアンケートでは、平均3.8に向上し、改善が見られている。これは、工学部の平均値にほぼ等しく、最初の目標は達成した。しかしながら、工学部の満足度は他学部に比べて低いことを考えると更なる改善が必要である。そこで、質問項目で特に評価が悪かった「学生の態度」の項目を中心に改善することにした。
 具体的には、学生の予習,復習を促すため、理解度をチェックするテストを各授業で行う。また、授業の冒頭で、前回の復習を行うなどして、学生の授業に対する理解度やモチベーションを上げたい。平成21年度も引き続き、このことを徹底して行いたい。

<機械システム工学科>

 授業アンケートの結果の全て(機械システム工学科、工学部、全学)及び自由記入欄に記入された資料を教員に回覧し、学科内で公表して情報を共有した。自己評価委員会の意向を受け、授業アンケートの結果はすぐに学生にフィードバックするべく、各授業担当教員が迅速な改善を行うことを学科で取り決めた。授業担当教員には評価を受けたアンケート結果を個別に配布して、評価結果の具体的な対応方法の検討を促した。

IV.生命工学部

生命工学部では、アンケート結果を原則として全教員へ開示(回覧)して、今後の講義や学生指導に反映させることとしている。その他の対応については、学科の独自性に委ねている。今回は平成20年11月末に行われた「授業評価アンケート」の集計結果を基に、各学科で講じた対策を報告する。

<生物工学科>

調査した全ての授業科目の評価結果を共有できるように、資料を学科の全教員に配布した。評価結果の全体的傾向を概観し、個々の授業科目の反省点をまとめることを全教員に求めた。全体的傾向については、パワーポイントを用いて、クラス担任が各学年単位で学生に対して概説した。個々の授業については、担当教員から改善努力等を学生にフィードバックした。

<生命栄養科学科・応用生物科学科>

アンケート結果を、講義担当の教員全員に回覧し、今後の学生に対する指導や講義に反映することとした。評価項目のうち、板書の仕方や話し方、授業時間の遵守など、講義の技能に関するものと、満足度のように学生の評価が必ずしも真の講義の評価に結びつかない項目があり、アンケート結果に対する講義でのフィードバックについては各教員の判断に任せている。

<海洋生物科学科・海洋生物工学科>

調査を実施した全科目に関する評価結果を学科会議で公表することにより、学科教員間で認識を共有した。評価のかなり低かった科目については、その原因について学科会議で討議を行い、教員の教育技術に起因していると考えられた科目については授業方法の改善を求め、授業のレベル設定に問題があると考えられる科目については、学科会議で次年度のシラバスの内容に反映できるよう再検討していくことにした。

V.薬学部

平成21年4月20日~24日にかけて、平成20年度授業評価を受けた薬学部教員を対象にアンケート調査を実施した。この調査から授業評価が特に講義手法の改善に役立っていると考えられる。授業評価に関する結果を学生にフィードバックした教員は半数であった。アンケート結果を受け取ったときには、すでに該当講義(1単位)が終了していたので、フィードバックできなかった教員も多かった。複数の教員が担当している教科では評価に基づいた改善を行って、次年度の学生に対してフィードバックされることが期待される。フィードバックの方法は、ほとんどの教員が口頭で結果を公表し、改善点や問題点を説明した。プリントや掲示(PowerPoint等も含む)で結果を公表した教員は全体の15%であった。
 アンケート調査を実施した結果を以下に述べる。調査対象教員は26名で回答率は100%であった。講義手法の改善に参考になったかという項目の回答は以下のようにアンケート調査の意義を肯定する意見がほとんどであった。

  1. 非常になった      7.7%
  2. なった         73.1%
  3. あまりならなかった 19.2%
  4. 全くならなかった    0%

「非常になった」及び「なった」と回答した教員の改善点は次のようなことである。すなわち、講義のスキルとして、スライドの鮮明さに気をつけて作成している。また、板書を分かりやすくしてほしいという希望があったので、分かりやすくするよう努めた。講義速度が速くなり過ぎないように心掛け、さらに言葉使いに注意している。パワーポイントを導入することも考えている。授業内容を資料としても学生に配布する必要があるようなので実行し、重要なポイントについてはできる限り繰返し説明するようにしている。興味だけに留まらず、要点が記憶に残るよう双方向の講義を心掛ける。前の週の内容について演習問題を通して復習する方法が有効と考えられるなどである。従って、この調査を通して、授業改善への方向性が明らかとなっている。
 講義内容の改善点に関しては、次のような意見が出ている。1年次生の講義に関しては、難しくならないにようにしているが、難しいと感じる学生もいるので、講義の内容を工夫したいと考えている。講義内容が多いという指摘に対しては、薬剤師国家試験と密接に関係した内容について精査を行っている。また、できるだけ多くの新しい知識を教えなければならないと考えていたが、現在は教える量を減らしても話すスピードを緩めるよう心がけている。講義内容に基礎レベルの項目を少し増やしたなどである。学生の学習到達レベルが二層に分かれているので、このレベルの異なった両者を同時に満足させるのは難しい。しかし、何とか工夫して、講義内容は変えないように、内容の深度についても考慮するようにした。学習の手助けに演習問題を取り入れるとともに、確認テストが復習に役立っていると学生が感じていることを知り、今後も確認テストを実施することにした。さらに、レジュメなどを簡潔に組み直すなどである。ここで、スライド(パワー・ポイント)を使うことにより理解力が高まると過信しないことに留意しなければならない。知識だけに留まらず、薬剤師としての使命ややり甲斐を感じるような内容を増やした教員もいる。
 その他、薬学部では、授業アンケート項目の改善、アンケートの時期や調査方法についての改善点、授業評価結果のフィードバック方法や授業改善のための具体案に関しても教員からの意見を集約し、検討している。

おわりに

平成20年度の「学生による授業に関するアンケート調査」では、次の点に重点を置いて実施した。すなわち、学部・学科内の教員間で、アンケート結果を共有する教員に速やかに通知し、講義終了日までには評価結果を踏まえて、学生にその結果や授業改善等の具体的方法についてフィードバックを行うという点であった。従って、授業の中盤で、アンケート調査を実施した。この実施方法については、自己評価委員会に様々な意見が寄せられたが、概ね学内で了解が得られたようである。
 大学全体の総合評価(満足度)は良好な状態を維持できているものと判断できる。授業アンケートを数年にわたって実施し、その結果を学部・学科の中で共有する効果が現れている。ただし、個々の授業については、かなりのばらつきがあるので,それぞれの授業で課題となる部分については,高い評価を得ている授業を参考にするなどの努力をしていく必要もあろう。
 この報告の中でも指摘されているが、教育効果を上げるためには、学生の学習意欲、教員の講義技能と熱意が不可欠といえる。学生の学習意欲は、履修時の初期の関心度と講義から得られる興味との相互作用といえる。教員の立場からは、講義のスキルと熱意の双方が重要であり、授業アンケートの結果からこれらの点はかなり反映できていると判断している。
 分かりやすい授業をすることは、教員にとって職務として最重要課題であることはいうまでもない。授業を分かりやすくするには、講義の手法に工夫を凝らし、理解しやすくしなければならない。すでに一部の学科が導入しているように、アンケート結果の処理方法を工夫して、大学教育として目標到達レベルが十分に維持できているか否かが把握できる手法を確立しなければならない。今後の課題である。


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