| 研究課題 3 高延性材料の開発とその評価
3.1 研究成果概要(吉村,中東)(1) 研究成果A 耐震用高延性鉄系材料の基本成分系の探索研究
本研究は、自動車の衝突時あるいは土木建築構造物での地震時のような急激な衝撃を吸収しうる耐震性能を有する新鋼材の開発を目的に行なわれているものである。この内、今回は、土木建築用の適用を考えて研究したものである。その内容は、開発目標特性を、耐力については即存の低降伏点の極低炭素鋼並とし、引張強さを極低炭素鋼と通常の構造用鋼SS400との間を3区分し、そして、高延性を有すること、そして、これらに見合った鉄鋼材料の基本成分系を探索したものである。その結果の概要は次の通りである.
(1) 開発目標特性の設定
0.2%耐力(σ0.2) :100MPa程度(即存の低降伏点の極低炭素鋼並)
引張強さ(σB) :320、360、400MPaの3レベル。(極低炭素鋼とSS400との間を3区分)
伸び(El) :30%以上(SS400の値以上)
(2) 上記特性を満たす適度の強度と延性をうるためには、まずどのような結晶構造を有する金属材料が有利か、既存の各種材料(純ニッケル、極低炭素鋼、SS400およびステンレスSUS304)について事前に調べた。その結果、低耐力には極低炭素にすることおよび面心立方格子(FCC:γ相)から体心正方格子(BCT:α’相)への変態を利用することが強度、延性の両面から有利であるとの結論を得た。
(3) 上記結果をもとに、γ→α’変態型を基本として新たに試作した材料の中から強度別に適正な新成分系を次のように3種類抽出した。
σB:320MPa級:Fe-23Ni-5Cr系合金
σB:360MPa級:Fe-22Ni-6Cr系合金
σB:400MPa級:Fe-15Ni-15Cr系合金
今後、この成分系を中心に耐震性能評価を中心に研究を進める。なお、本研究との関連研究についても列記する。
(2) 研究成果B プロチウム処理によるチタン系材料の結晶粒超細粒化と超塑性に関する研究
稠密六方格子(α相)+体心立方格子(β相)2相型Ti-6Al-4V合金にプロチウム(水素原子)処理を適用することによって結晶粒が超細粒化(結晶粒径0.3~0.5μm)し,高強度,高延性を示すことがわかり,しかも超塑性伸び9000%以上という,これまでの金属材料では前例のない,極めて大きな値を示すことがわかった.この巨大伸びを示す機構は,耐震材料開発の考え方の一つにもなっている. |