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生物工学科 
Department of Biotechnology

アクティブラーニング!生物環境実験(生物編)2015

3年次実習 生物環境実験(生物編)が終わりました。昨年も紹介しましたが、アクティブラーニングの手法を取り入れた実習です。今年も福山大学キャンパスを使って、アカネズミの遺伝的多様性を調べました。

2014年の実習の様子はこちらです。このテーマに関する研究成果は学術論文としてもまとまっています(こちら。学長室ブログはこちら)。答えのない課題を学生と教員が一緒に考えるところにアクティブラーニングの重要な点があります。学生にとってアクティブに学ぶことで知識や技術が定着しやすいばかりではなく、教員にとっても新しい発見につながります。つまり研究へとつながる教育でもあるのです。ですので教員も必死です。。。

まずは、アクティブに学んでもらうためには、どんなことが知りたいのか自分で考えてもらわなければなりません。「分断化された森林に生息するアカネズミ類の遺伝的多様性は低下する」という過去の知見とアカネズミの生態や福山大学の森の構造を考えあわせて、アカネズミ集団の隔離や遺伝的多様性に関して、6班それぞれで仮説を立ててもらいました。



まずは、5分間一人で考えます。



珍しく静かになる瞬間です。



その後、班のメンバーと議論して、班ごとに仮説を立てて、そしてその仮説を検証するためにはどこにどれだけのネズミのトラップを仕掛けなければならないのかを考えます。



各班に与えられたネズミのトラップは23台(もっとほしい。。。)。過去の捕獲実績は10-20%。いろんな可能性が考えられます。それが良いのです。



次に各班の代表者が議論の結果を他の班に説明します。じゃんけんが始まったのは発表したいという人がたくさんいたのでしょう。そう信じることにします。



何を隠そう私たち教員も人に教えることで知識が身に付くのを実感します。人に説明をする(出力する)ということは何かを身につけるうえで大変重要なことです。各班が知りたいことを理解することができました。



さて、目的が定まったらネズミを捕獲しに行きましょう。大学の東西南北のほぼ端から端までトラップを仕掛けました(広島県から許可を得ています)。生物多様性を学ぶ上で本当に魅力的なキャンパスです。



これまでに捕獲したことのないところにかけようという班が多くやる気を感じました。アクティブです。翌日確認すると、全体で18匹のアカネズミの捕獲に成功しました(昨年と同数)。



またまた今年も写真を撮るのを忘れてしまいました。アカネズミです。学生たちはちゃんと捕獲しましたよ。信じてください。



実験室に戻り、組織からDNAの抽出を行いました。



有機溶媒を使ってタンパク質などの余計なものを除去したのち、エタノール沈殿という方法でDNAを精製しました。下の写真は遠心機で遠心した後、沈殿であるDNAが落ちないように、そおっとエタノールをデカンテーションで捨てているところです。



その後、PCRでミトコンドリアDNAのDloopという領域を増幅し、電気泳動法でその増幅の有無を確認しました。下の写真は電気泳動用のゲルにサンプルを入れようとしているところです。



下の写真も同じく電気泳動の準備です。結局、全員分のPCR産物を得ることができました。



下の写真はPCR産物(増幅したDNA)の精製を行っているところで、再びエタノール沈殿です。今度は沈殿が見えません。昨年は見えない敵との戦いと表現しましたが、敵ではなく味方ですね。見えない味方を捨ててしまわないように、ゆっくりと上清を捨てます。



エタノール沈殿のやり方にはバリエーションがありますが、どういうわけか似てしまうことが多々あります。狙ったわけではないと思うのですが。。。



チューブも0.2mlと非常に小さくなり、細かい作業です。この実習は、トラップにネズミを捕獲するスケールから、0.2mlチューブでDNAを増やすスケールまで幅広いスケールを体験できるのが特徴です。



1マイクロリットル150円の試薬を2マイクロリットルずつ使ってもらい、DNAの塩基配列を決定するための反応を行いました(サンガー法+ダイターミネーター法 ← 環境バイオ製品で学びます)。



実験としては最後の作業です。33号館グリーンサイエンスセンターの遺伝子解析室にある3130DNAシークエンサーにサンプルをセットして、あとは神頼み!いや、実力がものをいう世界です。



さて、私もいつも心配するところですが、解析の結果、ほぼすべてのサンプルのDNAの塩基配列が出ていました。よかったよかった。データが出れば、あとはディスカッションするのみです。



最後は1号館のICT教室で解析を行いました。バイオ情報処理演習で学んだMEGAというソフトウェアを使って、得られたDNA塩基配列のタイプ分けを行って、班ごとに結果を発表してもらいました。最初に立てた仮説が支持されたのか?支持されなかったのか?支持されなかった場合に、どんな新しい考えで結果を説明できるのか?こういった考え方は科学の基本ですが、科学のみならず日常の生活でも無意識にしていることなんですよね。



ここで意識してもらったのは「学生同士の議論」です。いくつかよい議論が展開されました。教員は議論があらぬ方向に飛ばないように(今年はまっとうな議論だった!)、そして議論の結果をまとめる役割を担当しました。もっと低学年からアクティブラーニングで議論する練習をするともっと意見が出るのではないかと思いました。



生物環境実験(生物編)= 豊かな自然+DNA解析機器+ICT教室+アクティブラーニング

こんな要素はありそうでないんですよね。福山大学だからこそできる実習です。今年も無事に終わりました。



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