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建築学科
Department of Architecture

教員研究紹介

伝統構法土塗り雑壁の耐力特性および簡易耐震補強に関する実験的研究 (講師:山田明)

伝統構法による木造住宅は、地震に対して柱梁仕口のほぞ・土壁などが粘り強く耐えながら抵抗するという特徴があります。そのような伝統構法木造住宅の価値が見直され、それらの耐震性能を把握するとともに、耐震補強法を開発するための研究が盛んに行われています。

他方、耐震診断・補強の現場では、実験室で扱っているものとは異なる仕様の壁がしばしば見られます。例えば、写真1に示すような天井裏の壁土が塗られていない土壁、壁上部に梁が設けられていない土壁です。これらの土壁は、建築当時には一般的であったと思われますが、現在の耐震設計の思想に合わないため雑壁とみなし、耐力壁としての性能を期待できません。

本研究では、そのような土塗り雑壁が有する耐震性能を実験的に明らかにするとともに、簡易な手法による耐震補強の効果について検討します。

平成27年10月 安全安心防災教育研究センター
構造・材料開発部門 公開実験

柱梁接合部に高強度コンクリートを用いた柱RC梁S接合部の実験的研究 (教授:都祭弘幸)

柱RC梁S構造は、梁に大スパンにも対応できるS造を、柱に剛性の高いRC造を用いて、従来のS造やRC造よりも合理的な設計が可能な合成構造の一つです。柱梁接合部は鋼板で覆い、型枠工事や鉄筋工事を省略でき、超高強度コンクリートを使用できるので、スパンが大きく接合部強度負荷が大きい物流倉庫に最適な工法です。

1.研究目的  柱梁接合部に高強度コンクリートを使用し、上下柱とコンクリートを打ち分けた場合のRCS構造の基本性状を把握することを目的とする。

2.試験体概要  図1にNo.1の試験体形状、配筋状況を示す。試験体は柱梁接合部を含む縮尺約1/3の十字形部分架構6体である。

3.実験方法  十字形試験体の加力は実際の建物の柱クリア高さ中央が反曲点となるようにピン機構となるように支持させ、一定軸力下で、左右の梁部材の反曲点位置に地震時と同じ応力が作用するように正負交番繰返し載荷とした。梁の応力は、1000kN油圧ジャッキを用いた。

4.結果概要 (1)日米ガイドライン式を準用した提案式により、柱梁接合部のせん断耐力を安全側に評価できる。 (2)学会RCS式を準用した提案式により、柱梁接合部の支圧耐力を安全側に評価できる。


伝統構法による⽊造⼩壁の耐震補強に関する検証実験 (講師:山田明)

伝統構法で造られた木造建築物には、地震に対して柱梁仕口、貫、土壁、小壁(垂壁)などが粘り強く変形しながら耐えるという特徴があります。この10 数年の間に、このような建築物の耐震性能を検証するための実験、研究が積極的に実施され、耐震診断法・設計法も開発されています。その一方で、耐震診断・補強の実務においては、既往の実験・研究とは異なる施工が見られることがあります。その一例には、写真1に示すような天井裏の壁土が施工されていない土壁・小壁があります。

写真1のような壁は、築造当時には一般的であったと思われます。しかし、耐震性の観点からすると十分な強度が確保されないと思われ、また、このような壁に対する定量的な研究も数少ないと考えられます。

本研究では、伝統構法による木造住宅において数多く見られる『小壁』に着目し、壁上部に壁土が施工されていない場合の耐震性を実験的に検証します。また、耐震補強の観点から、壁の一方の側面のみから施工する簡易な補強法を検討し、その補強効果を検証します。

平成26年10月 安全安心防災教育研究センター 構造・材料開発部門 公開実験
商店街来街者の座りスペース利用に関する研究 (教授:大島秀明)

商店街は、以前から全国各地において空洞化と衰退が指摘されています。また、その活性化が今後の高齢社会を前提とした地域社会の重要な課題にもなっています。筆者の既往研究では、地域社会における環境整備の要件として、高齢者の外出行動と座り行為との関係について分析した結果、座りスペース整備は高齢者の外出行動を促進する効果があることを解明し,その必要性を提示しています。商店街を利用時の動作姿勢から分類すると、立って歩きながら利用する「立ち歩行利用型施設」と考えられることから、来街者の商店街内行動と座り行為については何らかの関係があることが予測されます。しかし、商店街の来街者行動やその活性化に関する既往研究では、来街者の座り行為との関係で捉えた研究はありません。本研究は,商店街の来街者行動と座り行為の実態を調査分析し,それらの関係性や影響の有無を明らかにすることにより、高齢者を含む来街者にとって利用しやすい商店街づくりと商店街活性化に繋がる計画的資料を得ることを目的としています。

調査対象として、商店街内に‘とげ抜き地蔵’の愛称で呼ばれている高岩寺があり、高齢者が利用する商店街として活性化に努め、全国の商店街関係者から評価され視察の対象になっている東京都豊島区巣鴨地蔵通り商店街をとりあげ、来街者に対して調査分析を行いました。

掲載論文:(社)日本建築学会計画系論文集 610 号 41~46 頁
『金瓶梅』にみられる生活様式と室内意匠に関する研究 (講師:藤原美樹)

①『金瓶梅』にみられる生活様式と室内意匠に関する研究
これは中国古典文学における四大奇書のひとつとして知られる『金瓶梅』の記述および挿図を主な資料として、明代豪商一家の生活様式と室内意匠の機能的・装飾的効果、およびその時代の嗜好性や時好性について、明らかにすることを目的として行っています。
その中で特に、中国明代の木製家具について検証を試みています。その中から内容の一部をご紹介します。

大庁(ホール)の主要な家具は、翅頭案の形態に類似する「卓」です。西門慶邸大庁にみえる卓の形状には、男性が暗喩され、装飾的効果が強く、客に対して富と権力を誇示するものです。大庁にみえる卓のほか、『金瓶梅』にみえる几案類の表記には、「案」の用例が1例しかなく、身分による使用規律があり、商人としての西門慶は、「案」の語彙を使用できなかったことを示していると考えられます。家具には身分との関係がおおいにあります。

物語には、さまざまなテーブル類が登場しますが、それらの形状や名称は、身分による規律がありました。通常、食事や作業するテーブルは「卓」とよばれました(写真1)。また、何かを飾るためのテーブル類は、「案」とよばれました(写真2)。この「案」の形状は、日本の床の間にみられる飾り棚に似ています。


写真1「琴卓」明代 

写真2 「書案」明代



地域図書館における高齢者の利用実態 (教授:大島秀明)

アメリカの社会学者レイ・オールデンバークは、魅力ある都市の条件として自宅、職場・学校の他に第三の場(サードプレイス)の必要性をその著書「The Great. Good Place」において提唱しています。第三の場として市民が居場所的に利用している施設として、公園やカフェ、図書館等があり、そのなかでも図書館は、学習支援の場、市民に開かれた施設、立寄り施設、滞在型施設など時代のニーズに応じてその役割を果たしてきました。

特に公共図書館の場合は、利用者が無料で利用できる施設のなかで最も身近な施設の一つであり、今後の少子高齢社会のなかで図書館の果たすべき社会的役割も重要なものとなっています。

本研究は、図書館の高齢者利用に着目し、図書館内の利用実態と滞在時間との関係などを分析することにより、高齢者の居場所としての図書館の可能性を探り、今後の図書館計画の条件解明を目的としています。


掲載論文:(社)日本建築学会地域施設計画研究31 2013年 91~96頁


『金瓶梅』にみられる生活様式と室内意匠に関する研究 (講師:藤原美樹)

研究テーマとして、おもに下記について行っています。

1.『金瓶梅』にみられる生活様式と室内意匠に関する研究
2.日本と中国の家具・室内意匠の関連性について
3.船の陸上がりによる漁民住宅の形成に関する研究

「『金瓶梅』にみられる生活様式と室内意匠に関する研究」では、中国古典文学における四大奇書のひとつとして知られる『金瓶梅』の記述および挿図を主な資料として、明代豪商一家の生活様式と室内意匠の機能的・装飾的効果、およびその時代の嗜好性や時好性について、明らかにすることを目的として行っています。

その中で特に、中国明代の木製家具について検証を試みています。


伝統構法木造軸組の実大震動実験の解析的再現性 (講師:山田 明)

現代的な構法である在来構法と伝統構法の大きな違いは、壁や柱はり接合部等の鉛直構面、床や屋根等の水平構面といった耐震要素の違いであると考えられ、これらの違いが軸組の力学的特性に大きな影響を及ぼしています。在来構法の基礎形式に関しては、鉄筋コンクリート造の基礎と土台を緊結し、柱脚についても土台または基礎に緊結することになっています。一方、伝統構法の基礎形式は礎石であり、その上に土台を介して柱を載せるか、あるいは礎石上に直接柱を載せることになっています。したがって、伝統構法の基礎構造と上部構造の固定度は低く、地震時における柱脚の滑動や浮き上がりを無視することはできません。

実験的には確認されていますが、その解析的再現性については研究段階にあると言えます。解析と実験の間に一旦誤差が生じると、その誤差の累積によって時刻歴上の解析精度は著しく低下するため、伝統構法固有の基礎形式を考慮した動的解析は難解であると考えられます。

そのような中で、本論では、伝統構法の力学的特性を考慮した地震応答解析モデルについて検討し、実大震動実験結果と比較することで、その有効性を検証しています。


掲載論文:日本建築学会構造系論文集、第76 巻、第663 号、pp.935-942,2011 年5月


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